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ただのパンダのお引っ越し

第3章 ペットとセックスできますか



パンダ男は、親の顔を知らないらしい。物心ついた頃には1人で山で暮らしていたとか。
人間には前から興味があったそうだ。登山客の会話を盗み聞きしたり、雑誌を拾い読みして言葉を覚えたとのこと。

知能はだいぶ高いようだ。そのへんの人間よりよっぽど賢いかもしれない。躾には全く苦労することがなかった。私の家の本を読んだり、TVやネットを見たりして、彼はどんどん人間社会のことを覚えていった。

ワガママを言うこともなかったので私はホッとした。やはり彼を飼って正解だったかもしれない。


「そういえば、名前はなんて呼ぼうかな?」

夕飯のあと、パンダ男をモフりながら私は言った。

どうも彼には名前というものがないらしい。私が名前をつけてやろう。

「パンダのパンちゃん」

パンダ男は不服そうにフゴフゴ鼻を鳴らした。

「パンダのパッピー」

フゴフゴ言われた。

その後もいくつか案を出したが、どれも嫌そうだった。生意気な。

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