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ただのパンダのお引っ越し

第2章 飼ってあげてもよくってよ!



パンダ男を毛布でぐるぐる巻きにして、私は話を再開した。

「ちょっとキミ、もう少ししっかり考えてみたら?故郷の山に帰ってもいいんだよ。電車賃くらいならあげるし」
「いいんだ。未練はない。山では食べ物にも寝るところにも苦労した。別に帰りたいとは思わないんだ」
「でも、動物はやっぱり自然の中で暮らした方が…」
「おいおい、そんなに気にするなよ。ただちょっと、お引っ越しをするだけの話だ。人間は一生のうちに何度もお引っ越ししたりするんだろう?同じだ、よくあることだ」

そう言って笑った。
考えが深いんだか浅いんだか…。

「わかった…じゃあ、何か話したいことがある時以外はパンダの姿でいること。人間の姿でいる時は、服を着ること。今度何か買ってきてあげるから。それまでは毛布にくるまっててちょうだい。あと、私の名前は桃浜有。まあ好きに呼んでよ」
「わかった、桃浜」
「トイレやお風呂の使い方なんかはおいおい教えてあげる。あと食事…。そういえば、キミは何を食べるの?」
「人間の姿のときは人間と同じものを食べるぞ」
「パンダの時は…?」
「パンダと同じものを食べるな」
「…面倒くさそうだから食事のときも人間の姿になってちょうだい」

こうして、私はパンダ男を飼うことになった。
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