第2章 始動
「仕事の担当は大きく分けて2つだ。
一つは、日本に残って外部からの情報を元に事件の捜査をする捜査担当。二つ目は、外国が持っている、事件に関する情報をあらゆる手段を使って集める情報担当。君達には、この2つの内の1つを担当してもらう」
池辺は、メンバーの経歴が載った書類を手に取った。
「当然だけど、担当は係長の私が、それぞれが強みを生かせるように公平に決めたから、学生の席替えの後みたいにぐずらないように。でもまぁ多少の反論は出そうだから、少しくらいなら話を聞くけどね」
「あの1ついいですか?」
知念が小さく片手をあげて質問をする。
「なんだ?」
「捜査担当の役割は理解できるのですが、情報担当はなぜ、情報を集めるために『外国』に協力を求めるのでしょうか?」
池辺が口角をあげ、知念を人差し指で指した。
「良い質問だね。」
そして池辺はメンバーの後ろを通るようにゆっくりと歩きだした。
「そもそも、この新しく設置された警視庁公安部外事四課不可解事案特別係は表向きは雑用係ということになっているが、実際は普通の人間が犯した事件の捜査ではなく、主に不可解な事件、つまり超能力や人間ではない存在でないと犯すことのできない事件を捜査する部署なんだ。だから情報担当は、事件の内容にもよるが、そういう人外や超能力を持つものが多く生活をしている異国に協力を求める必要があるんだよ」
「人外とか超能力とか、、、。それって本当に現実の話ですか?、、、非現実的過ぎではないでしょうか?」
後呂が自信無さげに、でも池辺が話したファンタジーのような内容が本当のことなのか確認するために尋ねた。
「今すぐ信じてくれと言っても難しいだろうが、これは全くもって現実の話だ。ただ日本が何もかも追い付いていないだけでね」
確かに、アメリカの元紐育であるHL(ヘルサレムズロッド)で人間と異界の生物が共存しているとか。
だが日本は世界でも珍しい、平和な国。
そういう物騒な世界に親近感を覚えられないのも無理はない。
「、、、話が少し反れてしまったね。まぁ大方説明したから、早速担当を発表しようと思う。」
池辺は書類のページを1つめくった。