第2章 始動
「警視庁機動捜査隊からこの部署に配属されました、服部真(はっとり まこと)です。年齢は23で、AB型。頭を使うのは苦手ですけど、体を動かすようなことなら他の人より役に立つと思います。、、、とりあえず、宜しくお願いします」
服部は喋っている時も終始真顔で、坦々と自分のことについて、どうでもいい情報を含めて説明した。
当の本人は、まだ気づいていないようだが、この場にいる一部の警察官は服部真という人物が『機捜隊の問題児』と呼ばれているということは噂で知っていたが、まさか今、自分等の目の前にいる長髪ストレートの黒髪で睫毛が長い、狐眼のこの『女性』が例の噂の服部真だとは思わなかったようだ。
驚いていることが顔に表れている。
そして服部は突然何かを思い出したように、隣の人物に親指を向け指差して一言呟いた。
「あ、ちなみに隣にいる知念とは警察学校の時の同期で知り合いです」
この一言が、知念にとっては小型爆弾並みの威力があったらしく自分の名前が服部の口から出た瞬間、体をビクッと震わせ、それから自身の拳を強く握りしめた。
頭の中では、『何また余計なこと言ってんだよ』と服部の愚痴を何回も溢している。
下手をしたら、その愚痴が口から出てきてしまいそうだ。
だが知念は、服部のように思ったことをすぐ口走ってしまうような奴と同類になることが嫌だったので、それを拳を握ることで我慢していた。
「え、それって本当なの?知念君」
早くもメンバーの名前を覚えた丸山が知念に事の真偽を確かめようと訊ねた。
この際、もうはぐらかす理由もないので知念は、頭にきていることがバレないように表情に気をつけて応えた。
「まぁ、、、そうですけど。本当にただの同期ですよ。」
丸山は知念のその一言を聞くと「ふーん。そっか」と意味ありげな返答をして口を閉ざした。
絶対何か疑っているだろ、と思った知念だったが、あえて気づいていないふりをした。
話が終わったことを確認した池辺は、軽く手を一回叩いた。
「はい!それぞれの自己紹介は終わったね?」
そして仕事の担当について詳しく話を始めた。