• テキストサイズ

霧は黒を覆えない~JAPAN →HL ~

第2章 始動


それから数日経ったある日の朝、『警視庁公安部外事四課不可解事案特別対策係』という長ったらしい名前の部署の一室に、これから仕事を共にする警察官達が集まった。

この場所の空気感といえば、まぁ予想はつくだろうが、あまり良くない。というか重い。

誰も喋り出す気配が見られない。

これは由々しき事態だと察知した、係長___池辺輝彦は
1つ咳払いをしてから喋り出した。

「えーと、初めての顔会わせだし自己紹介でもしようか。じゃあ、まず私から。この部署の係長を勤めることになった、池辺輝彦(いけべ てるひこ)だ。元の所属先は聞かないで欲しい。秘密事項だからね。これから君達と仕事が出来ることを楽しみにしている。よろしく。」

周りからはポツポツと『よろしくお願いします』という声が出た。

この男の見た目を簡単に言うと、顔がそれなりにイケメンで、背が高い、ダンディーなオヤジといったところだろうか。後、スーツと靴からセンスが滲み出ている。

「じゃあ後呂警察官から時計回りで自己紹介をしていってくれ。後呂君、よろしく」

池辺が、眼鏡をかけた髪型がショートカットの女警察官に言った。


「あっ、はい。えっと、警視庁科学捜査研究所から此方に配属されました、後呂理子(うしろ りこ)です!科学のことなら任せてください!よよ、、、よろしくお願いします!」

人前で喋ることに慣れていないのか、頬を赤くさせながらペコペコと頭を下げている。

そんな姿を見て誰かが『かわいい』と言ったのが聞こえた。


後呂が話終わったのを見て、後呂とは雰囲気がまた違う女警察官が話し出した。

「じゃあ次は私ね。警視庁捜査一課から此方に本日付で配属されました、丸山桐子(まるやま とうこ)です。前の部署は男ばかりだったので、女の子がいて少し嬉しいなと思っています。今までの現場での知識をいかして、この新たな部署で尽力出来るよう努めていきたいと思います。よろしくお願いします。」

スーツを着ていても分かるスタイルの良さで、艶のある少し長めの髪が、いかにも大人な女性という印象を与えている。

見た目と、今さっきの紹介を見聞きしただけでは好印象な女警察官に見えるが、その隣から気に入らない、と言いたげな目線をおくっている男がいた。
/ 13ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp