第2章 約束
予想していた言葉と全然違っていて思わずキョトンとする。
「えっと…試合、見てくれたの?」
「おう!まじすげぇよ!仲間が弾いちまったボールも身体張って繋いでたし、例えミスしてもその倍声出してボール上げてたし、かっけぇよ!!」
ずいっと近づいてくる。
私は彼から目を逸らしながら小さく答えた。
「…でも負けたじゃん…」
私は俯き、涙が出るのを耐えた。
「オレは結果だけが全部って訳じゃねぇって思うけど」
彼は私が座っている隣に腰をかけた。
「オレは、例え負けたとしても試合の中でスーパーレシーブ上げて、見てる奴らにかっけぇって思われて、また次も応援してもらえたら嬉しいって思うぜ?」
彼は正面を向いたまま自信たっぷりに言ってみせた。
『千鳥山中学校と○○○中学校は体育館入口に集合してください』
話終えたあとに丁度、アナウンスが流れた。
「…次、試合じゃん」
「おう、そろそろ行くわ!」
彼は勢いよく立ち上がる。
「頑張れ」
聞こえないぐらいの声で言ったつもりだったのに
「おう!!」
彼には聞こえていたらしい。
ニカッと私に笑い顔を見せ走っていく。
ドキン…ッ
話しかけられるまで、開いた口が塞がらなかった。