第2章 約束
――私が夕と初めて出逢ったのは中学の引退試合だった。
私たちは北信越大会の初戦で敗けた。
みんなが泣いていた。
私は泣くことよりも唇を噛み締めて後悔することしかできなかった。
私はみんなの所にいるのが苦痛で外にあったベンチに座っていた。
私があそこでミスをしなければ、もっと拾っていたなら、もっと繋いでいれば…
そんなことばかりが頭で考えていた時に、誰かに肩をポンと叩かれた。
「やっと見つけた…!」
振り向くと知らない男子が私の肩に手を置いていた。
その人は〝千鳥山〟というロゴが入った赤の4番のユニフォームを着ていた。
「あの…なんか用で「お前さぁ!!」」
聞き終わる前に話を遮られ、少しムッとする。
「な、なに?」
「岩東中のリベロ?!ついさっきまでAコートで試合してたよなっ?!」
嵐のように喋りだすが臆することなく返事を返す。
「うん、そうだけど?」
もしかして、下手過ぎてわざわざ文句を言いに…?
何か変なことを言われる気がして少し身構える。
「すっげぇ、かっこよかった!!!!」
…はい?