第4章 嫉妬
「あ…夕…!」
扉が開いた瞬間に、稲妻のごとく飛び出して行ってしまった夕を追いかける気力もなく、またその場でうずくまる。
「周り、見ろっつの…」
ううぅ、と変なうめき声を上げてるとまた扉が開いた。
「…なにしてるんですか?」
出てきたのは、金髪のメガネをかけた男子だった。
この人が…月島?
ていうか、やっと気づいてくれたーー!!
「えっと…あ、のさ…」
小声でゴニョゴニョという私を見て、月島は私と同じ目線まで腰を下げてくれる。
「…あー…大丈夫?」
うっ、理解されたー!
恥ずかしい…っ///
しばらく黙っていると、彼はこちらに背中を向ける。
「?」
「乗って。保健室まで連れて行きますから」
「~~~っ」
男の子におんぶされるのは恥ずかしいけど、ここでうずくまってた方が恥ずかしいっ
私はゆっくりと月島の背中に乗る。
「お、お願いします…」
無言で立ち上がり、無言で歩き始める月島に感謝はしつつも少しムッとしていた。
こいつ…っ、私のこと年上ってわかってんの?
っていうか、意外と身長高かったんだ…。景色が違う…。
長い廊下に差し掛かった時、キュッと聴き慣れたシューズの音が聴こえた。
あれ…?
誰かいるの?
「栞?」
自分の名前が呼ばれ、月島の顔の横から私の顔を覗かせると、少し汗をかいた夕が立っていた。
「ゆ…夕」
「お前、どうしたんだよ!」
私を見つけるとすぐに駆け寄ってくる。
「あ…お腹、痛くって…」
へらっと苦笑い気味で笑うと、夕は私をおぶってくれている月島を睨んだ。
「オレが運ぶ」
「西谷さん、彼女お腹痛いんで、今降ろすと身体に負担がかかるかもしれないです」
「…っ」
「なので保健室まで僕が運びます。大丈夫ですか?」
夕は私の顔に目をやってから、頼むと小さく言った。