第4章 課外授業【マカ・ソウル編】
「な、何をしたの!?」
「……"心霊医術"。器具を一切使わないで手だけで手術したり、悪い所を治したり出来る医術なんだよ! 凄いでしょ!」
また子供の一面に戻り、得意げに話すスイナ。手は男性研究員を捉えたまま。寒気がアリサを襲う。一人の少女に、この場にいる大人全員はカタカタと震えていた。
この子は、一体……?
「心霊医術なら、こんな事も可能なんだよ」
一気にスイナが手を引き出すと、魂を掴んでいた。その直後、男性研究員はドサッと倒れ、呼びかけにも無反応。体も少しずつ冷たくなっていく。
「……器、造ってくれるよね? アリサ先生」
周りの研究員たちの視線がアリサの背中に突き刺さる。
「造る事なんてない!! 先生の研究は、多くの人の役に立つ研究です! こんな事のために使ってはダメです!! 絶対に!!」
一番弟子のブラッドが声を張り上げた。それは、アリサだけでなく、少女に恐れをなしている大人達を勇気付けようとする発言だった。
彼はアリサの恋人。辛い時も嬉しい時も、ずっと側で彼女を支えてきた。だからこそ、彼はアリサの手を汚したくなかったのだ。
ブラッドの声に他の研究員たちも口々にアリサを引き止める。
「そういう訳だ。ここは、子供の来る場所じゃない。さぁ、夜になる前に早く家に帰りな」