第6章 課外授業【夢主編】
安堵しながら電話に出た火ノ丸だったが、返ってきたのは凄まじい時雨の怒鳴り声だった。
「どこにいるの!? 夜八時以降の外出は禁止なんだって!! 早く戻ってきてよ。ルルーノさんたちも夕飯食べずに待ってるんだから!!」
「悪い。そのことなら、見回り兵の人たちから さっき聞いた。すぐ戻るから。先、夕飯食べててくれ」
用件だけ伝えると、早々火ノ丸は電話を切り、闇の中へ身を投じた。
また別の気配に気づいたのだ。先程の少年でもなく、見回り兵の男たちでもない。自分に向けられた禍々しいまでの殺気。
しかし、その気配は火ノ丸を追っては来なかった。ある程度離れた闇の中から、ただジッと火ノ丸を見つめている。
視線が重なった気がした。と同時に、冷や汗が火ノ丸の背を伝っていく。
火ノ丸は思い出したのだ、この気配を。彼は一度、この気配と会っている。
時雨と初めて課外授業に行った、あの日に……。