第4章 課外授業【マカ・ソウル編】
【……逃げて】
ソウルはビクンと肩を跳ね上げた。冷や汗が背中を伝う。側にいるマカを見つめ、目で会話した。
「何か聞こえなかったか?」
「今集中してるから、後に」
【今すぐ、此処から逃げて】
今度はマカの肩が跳ね上がる。二人は顔を見合わせた。そんな二人の様子に気付くことなく、スイナは「ちょっと待ってて」と部屋の奥へ進んでいった。
カプセルの前へ行き、中にいる少女に魂で語りかけた。
「あなた……本当に、アリサ=ルーベンス?」
【えぇ。それは本当。でも、さっきあの子が話したのは、半分事実で半分はウソ】
「お願い。急いで、本当の事を教えて」
【この体はスイナのモノよ。あの子は天才なの。弟子になりたいと来たときには、既に魂の摘出術をマスターしていたわ。ただ、あの時はそれだけだった。彼女に恐れを為した研究者たちが知識を与えてしまって……。私はそれを食い止めようとしたんだけど……それで、今の姿に……。マカ、あなたとあなたのお母さんには辛い思いをさせたわね。ごめんなさい……】
何という事だろう……。これが紛れもない真実……。
【早く逃げて! このままじゃ、あなたたちも】
「クソッ! ダメだ、開かない!!!!」
ドアノブを回すも施錠されていて開かない。ソウルが体を使って押しても引いても、扉はびくともしない。
「逃がす訳がないじゃない」
満面の笑みを向けるスイナがソウルの背後に立っていた。