第1章 一人ぼっちの職人と新たな武器
─パラパラパラ……
赤い髪の少年がムクッと立ち上がると、付いていた床の破片が下へ落ちていった。額に滲む赤い液体も彼の顔を伝い、ポタポタと垂れていく。
「……お前、誰だ?」
死人を指差し、首を傾げる少年。
「知り合い……なんでしょ?」
「は? こんな薄気味悪いヤツ、知らねーよ」
「無理もないさ。お前と出会ったのは、お前がまだ赤ん坊の頃だったからな。そして、俺もまだ人間だった」
優しい目で死人は、彼を見つめた。死人の魂の波長はピリピリしていたが、穏やかで温かな波長へと変化した。親が我が子を見ているような、それと似た眼差しを火ノ丸に向けている。
「火ノ丸、胸に刻まれた太陽の黒印(こくいん)……意味は聞いたか?」
「あぁ。"太陽に誓って正義を貫け"」
「……間違った正義は【悪】に変わる。これも、一緒に覚えておけ。廊下は静かに歩くこと。……それじゃ、またな。二人とも」
死人は、来た道を引き返して行った。
「じゃ、私も行くから」
「あぁ、俺も行く」
─ スタスタスタ……
─ スタスタスタ……
「何で、ついて来るの!?」
「あ? 俺も、こっちに行くんだよ」
「……あっそ」