第1章 一人ぼっちの職人と新たな武器
長い廊下に響く 二つの足音。互いに目的地に着き、ピタッと音は止んだ。
「まさか……アンタも!?」
「あぁ。……お前の武器になれって、死神の大将(たいしょう)に言われたんでな。……まっ。まだなるって決めた訳じゃねーけど」
「嘘でしょ? アンタが死神様が言ってた私の新しいパートナー!? ……絶対、イヤ!!」
この少年の魂は自信過剰で、頑固者、我が道を貫くタイプ……。まさに、ブラック☆スターの武器バージョンである。
ブラック☆スターの場合、彼は職人だが、武器が優しく大人しい性格の椿だからこそ、パートナーとして成り立っているようなものだ。
時雨も人に合わせることは出来るが、彼のようなタイプには、「合わせてよ!」と協調性を求めてしまう。
「んだよ、その顔。……吹っ飛ばすぞ? ニシシシ……」
「今度は、その首……貰うよ?」
教室の扉の前で戦闘の構えを取る。……張り詰めていく魂の波長。そのせいで、ガタガタと窓ガラスが激しく揺れる。
─ ガラガラガラ!!
「いい加減にしなさい! ……… 二人とも、バラすよ?」
ヘラヘラと不気味な笑みを浮かべ、現れたのはシュタイン先生。手には、ギラリ……と怪しく光るメスが握られている。