第4章 課外授業【マカ・ソウル編】
ソウルの口元から、じんわり赤が滲む。
「くそっ……」
思うように体に力が入らない。地に顔を伏せたまま、ソウルは諦めかけた。
「私は信じる、ソウルの事!!」
ハッと思い出したのは、いつかのマカの言葉。いつだって、ピンチの時にマカは諦めなかった。それどころか、ピンチをチャンスに変えてしまう。
「大丈夫! ソウルなら……ううん、私たちなら出来る!!」
きっと今だって、その信念を胸に走っているはずだ。
「本当……俺、使えねぇ」
小さく呟いた弱音は狂気の闇に飲み込まれていく。しかし、ソウルの顔から諦めの色は完全に消えていた。
「アイツだって、一人で頑張ってんのに……」
鉛のように重い体。それでも、ソウルは少しずつ這い上がっていく。
「カッコ悪い姿なんか見せられねぇッ……!!」
何とか立ち上がり、小鬼を睨んだ。そんな彼に小鬼は称賛の拍手を贈る。
「ブラボー! やるな、ソウル。でも……」
何か企んでいるような薄気味悪い笑みを向け、部屋の片隅にある蓄音機にレコードをセットし、ゆっくりと針を落とす。
流れてくる、もの悲しい調べ。それに同調するように、更に狂気の力が増していく。
「本当の狂気は、これからさ」
「ッ!?……クソッ……」
── ズンッ……バタッ!!
再び、ソウルは地にひれ伏せた。