第4章 課外授業【マカ・ソウル編】
「なっ!?」
「俺(狂気)がお前を飲み込み始めてるのさ」
「ふざけんなっ!! お前なんかに乗っ取られて堪るか!! ……それに、お前は分かってない」
鬼に近づき、ソウルは腕を刃に変え、切っ先を彼の喉元に向けた。
「俺は兄貴の"弟"で満足してる。兄貴が居ても居なくても、俺に才能が無いのは変わらない。俺が失望したのは、安っぽい音しか出せないこの指にだッ!!」
微かに触れた鬼の皮膚の表面から何かが流れ出た。どす黒くドロッとした液体。
「ここから出るのに、お前の力を貸せ」
「自ら狂気と交わる事を望むのか? 人に戻れなくなるかもしれないぜ。……怖くはないのか?」
ソウルは鬼を見上げ、ニヤッと歪んだ笑みを向けた。
「恐い? 俺の職人(マカ)が一人で頑張ってんだ。……COOLな男が魂かけられなくて、どーするよ?」
徐々に鬼は小鬼サイズへと戻っていく。それは、ソウルの魂が小鬼の狂気に勝ったということ。
「さて、派手に行こうぜ!」
「……いつだって、力は貸してやる。お前が望めばな。但し、狂気を甘く見るなよ?」
「へいへい。……ぐっ!?」
小鬼から溢れ出た狂気の闇。その重圧感がソウルの体を襲う。
息苦しい……。息も絶え絶え、上がっていく。意識が持っていかれそうになるのをソウルは必死で堪える。
「クク……いい様だ。さっきまでの威勢は、どうした? ここから這い上がれなければ、お前も他の19人同様、狂気に喰われるぜ」
小鬼は苦しむソウルに近づき、耳元で囁いた。
「さぁ、ソウル。この力をお前に制御出来るかな?」