第1章 一人ぼっちの職人と新たな武器
声だけが廊下に不気味に響く。
「次で終わりだ。……ニシシ♪」
銃声と共に時雨目掛け、弾丸が真っ直ぐ飛んでくる。先程よりも弾の速度が速い。
「(……このままじゃ……)」
── バァンッ!!
何かを貫いた破裂音が響き渡った。時雨は、どうなったのだろうか……。
「ヤリィ!! 確実に仕留めた」
赤髪の少年がガッツポーズをし、喜んだ時だった。背後に気配を感じたのは……。
「……うん。"確実に仕留めた"」
「な、何で!? 俺の背後に居るんだよ!!」
「おっと……動かない、動かない」
首筋にピヤッとした冷たい感覚。彼の首筋には鋭利なクナイが宛てがわられ、体の自由は時雨によって奪われていた。
「お前……」
「魂感知能力があるから、隠れても分かるよ。それに……"暗殺術"は、少しだけ得意なんだよね」
「……へ~、面白ぇ……」
一発目の攻撃より前に時雨は彼が居る位置を把握していた。しかし、先に仕掛けるのはリスクが高い。初めて戦う相手であれば、尚更である。誰しも少なからず、初対面の相手には警戒を向けるだろう。そこであえて、着ていたパーカーだけを残し、やられたように見せ掛け、油断したところを時雨は突いた訳だ。