第4章 課外授業【マカ・ソウル編】
「あー……アリサかい。二人は幼い頃から仲が良くてね。ちょっと、お待ち」
婦人は厨房に注文を伝え、どこかへと一旦姿を消し、何かを持ってマカの元へ戻ってきた。
「ほら、見てごらん」
幼い頃の二人が競い合うようにオムライスをガツガツ食べている一枚の写真。
「こんなに仲がよかったのに……」
婦人は涙ぐみながら、マカの前に座った。
「話したくないかもしれませんが……聞かせてください。あの日、何があったのか……」
「それを聞きに来たんだろ?」
「………はい」
「長年、店に立ってると何となく分かるんだよ。その客が"何"を求めて来たのかがね……」
悲しみに濡れた瞳を拭い、婦人は話し始めた。
「あの出来事が起こる前。街で不可解な事件が何件か起きた。人であって人でない、それは魂を抜かれた生身の人形。最終的に彼らは自ら命を絶った。その頃からだよ、森の奥にある研究所で善からぬ実験が行われていると噂が立ったのは」
入り口にあった写真に写っていたのが、その研究所だろう。そして、そこに写っているアリサ=ルーベンスも事件に関与していた可能性が高い。
マカの前に出来立てのオムライスが運ばれてきた。美味しそうな香りが食欲をそそる。