第4章 課外授業【マカ・ソウル編】
二人の居場所をマカは特定した。そこから動く気配は無い。
腹ごしらえに立ち寄ったのは、赤レンガ造りの古い料理屋。石畳の坂の途中にある店である。下の活気からすると、ここ一体は何処か寂しく感じる。人通りも少ない。
── カランカラン。
店のドアを開けるとベルが鳴った。入り口付近に飾られた一枚の写真。そこには、あの人物が写っていた。
「……やっぱりね」
マカがこの店を選んだのは偶然ではない。女が見せてくれた女の母親の司法解剖結果。そこに、この店の料理を食べていた記載があったのだ。
もしかしたら、日頃から口にしていたのでは?とマカは読み、ここを訪れた。
「いらっしゃい……おやまぁ!!」
店の奥から出てきたのは、お歳を召したご婦人。マカの顔を見るなり、「懐かしい顔だね」と微笑んだ。
「お母さん、ソックリだ!」
「ママを知ってるんですか!?」
「あぁ。幼い頃から、ね」
まさかの展開だ。マカの母親と女の母親は前から接点があったのだろうか?
街が一望できる窓側の席に案内され、マカは椅子に腰かけた。
「はい、お水。あんたの母親は決まって、うちの"オムライス"を注文したよ」
「じゃあ、私も! ……あの写真の人も?」
あえて名前を出さず、婦人にマカは訊ねた。