第4章 課外授業【マカ・ソウル編】
「あまり調子に乗るなよ? マカ=アルバーン」
「……私の名前、知ってたんだ」
マカは、この時ゾワッとした。こちら側は初対面だが、女は自分について知っている。口振りから察するに調べ尽くしたのだろう。
今回の件も計画されたものに違いない。
「忘れたくても忘れられないわよ。……あなたは、あの女の血を引く娘ですもの!!」
「それって……ママの事? ママが何かしたの?」
女は ため息を吐き、憐れみの目をマカに向けた。
「本当、"何も"知らないのね……。可哀想に。嘘つきな両親に育てられて」
「どういう意味!?」
「私の母親はね……あなたの母親に殺されたのよ!!」
マカは言葉を失った。自分の母親が目の前に立っている女の母親を殺した? そんな事、信じられるはずがなかった。
「あなたの母親、あまり武器職人だった頃の話をしないでしょ?」
確かに、マカの母親は武器職人時代の話を自らすることは少なかった。死神様や父であるデスサイズから彼女の活躍を聞くことの方が断然多い。
そして、マカの脳裏を母の言葉が遮る。
【職人として楽しい嬉しい事もあるけど、その分嫌な事や辛い事もある。その事を忘れちゃダメよ】
【私みたいな職人には、ならないでね】
この言葉の意味がマカは分からずにいたが、女の話を聞いて埋まらなかったピースが埋まったような感覚がした。
マカの心がバランスを失い、ゆっくりと傾き始める。