第3章 課外授業
「昨日の一件もあるから、二人から目を離さないように。それと……"何か"あったら、すぐに死武専に引き返すようにね!」
「はい!」
普段通りに戻ったと安心していたが、昨日の今日だ。また魂の増幅が起こる可能性もある。
【油断は禁物】そう自分自身に時雨は言い聞かせ、隣を歩く椿と その意思を互いに確認するように頷き合った。
何も起こらなければいい。だが、備えあれば憂いなしである。そんな気持ちで、シュタインも時雨たちに話したのだろう。
ブラック☆スターも火ノ丸も自分の弱さは人に見せないタイプなだけに、周りが彼らの変化を見逃さないようにしなければ、きっと彼らは無理をする。
もっと頼ってくれていいのに……。時雨は、重い息を吐き出した。
「な~に暗い顔してんだよ?」
「アイタッ……」
ニタニタ笑いながら、火ノ丸は時雨のおでこを指で弾いた。