第1章 一人ぼっちの職人と新たな武器
「遠慮します……」
「……あの件を引きずっているんだね。あれは、君のせいじゃない。……"恐怖心"に、彼自身が勝てなかったのが原因だ……」
その"恐怖"の原因は、時雨にあった。しかし、時雨は死神様たちには言えなかった。鬼神を生んだ自分を ここから追い出すに違いない、そう思ったからだ。
新しいパートナーも、また彼女による"恐怖"に飲まれてしまうかも知れない……。
「そうだったとしても、遠慮します……。失礼します!」
「あ、ちょっと! 時雨ちゃん!?」
死神様に頭を下げ、時雨はその場から立ち去った。
「時雨ちゃんにも困ったもんだ……。君は、どう感じたかな?」
「……どうもこうもねーよ。俺の"弾"で撃ち抜いてやる!!」
「あ~、そうじゃなくて……」
「ニシシシ~♪」
走り去る少年の後ろ姿に死神様はため息を吐いた。
「まったく……せっかちなんだから」