第1章 一人ぼっちの職人と新たな武器
「……静か過ぎる……」
森から生き物の気配が無い。火ノ丸が周りに視線を送りながら呟いた時、彼の真後ろの木が枝を振り上げ、襲ってきた。
「おわっ!? アッブネー!!」
「火ノ丸、やるよ!」
「やるって、何を?」
「……【魂の共鳴】」
「チッ……賭け事は好きじゃねーけど、ヒーローになるためにやってやる」
「ありがと。……大丈夫、アンタに合わせるから」
呼吸を落ち着かせ、火ノ丸の魂の波長を静かに感じる。そこへ、時雨自身の魂の波長を合わせる。
乱れる波も何度か繰り返せば、同じ流れへと変わっていく。ゆったりと重なる二人の波長。
── 今だッ!!
「【魂の共鳴】!!」
二人が同時に唱えると、火ノ丸はリボルバー(回転式の拳銃)に変化した。
「へー、あいつもCOOLだな!」
「ちょっと! ソウル、鎌から顔出さないでよ!」
「マカ、俺たちもCOOLに行くぞ!」
向かってくる敵目掛け、マカは釜を構えた。
「よしッ! ……"魔人狩り"!!」
鎌をエネルギー状の刃に変え、相手を深く切り裂いた。
── メキメキ……メキメキ……
しかし切り裂かれた場所から、みるみる再生し、元に戻っていく。
「やっぱ、ダメか……」
「俺様の出番だな! 行くぞ、時雨」
「マカたちは休んでて! ……火ノ丸、セット完了!」
「んじゃ、派手にブッ放せよ!」
魂の波長を弾にし、リボルバーに詰め込んだ。それを魔物目掛けて、撃ち放つ。