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淀んだ世界で【SOUL EATER/※R15※】

第1章 一人ぼっちの職人と新たな武器



── ストン………コロコロ……

 恐怖に歪んだ顔が地に転がった。返り血で赤く染まった頬を手の甲で拭い、後ろにいる彼(人形)に時雨は笑顔を向けた。


「これから、好きに生きれるよ!」
「"ありがとう。……人間じゃない僕でも、友達って出来るのかな?"」
「うん。ここにいるよ、友達」

 自分自身を指差しながら笑う時雨に、彼の固まったままの表情が少しだけ和らいだように見えた。

「"初めてで、最後の友達……僕を人間扱いしてくれて、ありがとう。凄く、嬉しかった。……でも、もうサヨナラ。出来るだけ、遠くへ……あと3分で、僕は消し飛ぶ"」

 苦しい、悲しい、寂しい、辛い……。グルグル渦を巻き、色んな感情が交わり一つになって、時雨の目から滴がボタボタ落ちる。泣けない彼の分まで彼女は涙を流した。

 時雨は制服のリボンを外し、彼の腕に巻き付けた。唯一無二の友情の証。二人が出会い、友達になった、その事を忘れないために……。

「君のことは、忘れない。……名前、言ってなかったね。私は、時雨」
「"僕は、アローン。時雨、ありがとう。……さぁ、時間がない。早く僕の側から!"」
「……助けてあげられなくて、ごめん……」

 小さく呟いたあと、時雨は全速力で走った。振り返ることもせず、ただ必死で生き延びるために、足を前へ前へ動かした。

 そして………

── ドゴォオオン!!

 凄まじい重低音が彼の最期を告げた。
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