第6章 課外授業【夢主編】
パートナーを組んだ頃に比べれば、二人の視線が同じタイミングでぶつかる事も増え、口に出さずとも何となくではあるが、互いの思っている事も分かるようになってきた。しかし、これらは まだ確実ではない。
いくら魂を通わせていたとしても、お互いの理解を深め、お互いの行動パターンを把握していなければ、相手の考えている事の予想すらも出来ない。
時雨と火ノ丸は他の生徒たちに比べ、まだペアを組んで、日が浅い。当然、互いに知らない事ばかりだ。
更に、彼らは それぞれに【秘密】を抱えている。これが相手を理解することにブレーキをかけている。
この事に火ノ丸は気づいていないようだが、時雨は気づき始めていた。火ノ丸への理解が深まる度、自身が抱えている【秘密】のせいで、彼を傷つけてしまうかもしれないと、心が「これ以上は危険だ」と警鐘を鳴らす。そして、彼女の中に疑問が浮かぶ。火ノ丸は自分を理解しようとしてくれているのだろうか、と。
"相手を理解すること"
もしかしたら今回の課題授業で、二人に与えられた課題はこれなのではないか?と、時雨は考えていた。