第6章 課外授業【夢主編】
荷物を置き、二人がキードの元へ戻ると、すでにコートが用意されていた。
キードが見立てたコートに袖を通し、寒さが和らいだ二人は荷物を運ぶスピードも上がり、ようやく全ての荷物を車から運び終えた。
「終わったー!!!!」
「スゲー量だったな。三人で四往復もしたぞ……」
「君たちが居てくれて助かったよ、ありがとう」
いつの間にか、荷物運びはルルーノからキードに代わっていた。
店の奥から三人の元へ、ホットミルク入りのマグカップを乗せたトレイを持って、ルルーノはやって来た。
「みんな、お疲れ様! 温かいミルクをどうぞ」
「ありがとうございます!」
「くぅー!!!! 生き返るぜッ!」
「すまないね、私の分まで」
「いいんだよ。アタシこそ、悪かったね。夕飯の支度するのに、荷物運び代わってもらっちゃって」
ルルーノとキードの会話に更に心が温まる。この夫婦は心が通い合っている。最初に二人を見た時から、時雨は感じていた。二人の魂の波長はピタリと互いに寄り添うように重なっている。
「私たちも、こんなふうになれるかな……」と、隣にいる火ノ丸に時雨は期待をかけたのだが、ミルクで出来た白い髭を鼻の下に付け、「どうだ! 偉い人みたいだろ! ニシシシ♪」とはしゃいでいる彼を見て、長い道のりになりそうだと肩を落とした。