第6章 課外授業【夢主編】
「わぁ!!」
時雨は窓の外を見つめ、目を輝かせた。
石畳の道路は車通りが激しく、雪は殆ど積もっていない。その両端に三角屋根をした石造りのカラフルな建物がズラッと並び、街に華やかさを齎(もたら)している。映画や童話に出てきそうなオシャレな街だ。
建物の一階部分は店舗になっており、花屋・パン屋・ブティック・雑貨、それに医療機関や薬局まで、通りには何でも揃っている。行き交う人々はモコモコのファーが付いたアウターや手編みのマフラーなど、暖かい装(よそお)いで買い物を楽しんでいた。寒さを忘れさせるほど、活気に溢れている。
「素敵な街ですね!」
「だろ! この角を曲がった先に家(うち)があるんだ」
車は十字路の信号で停車した。長く伸びた鉄柱に取り付けられた縦型の信号。太陽と月が描かれ、時雨たちから見えている縦道の信号は、青い光に照らされた【月】のマークが浮かび上がっていた。反対の横道(よこどう)は、赤で照らされた【太陽】へ信号が変わり、人や車が行き交い始めた。
【太陽】は、進め。【月】は止まれ。
「……《太陽と月》か……」
ポツリと火ノ丸が呟いた。それに つられる様にルルーノも「しばらく見てないねー、"本物"は……」と、ぼやいた。