第6章 課外授業【夢主編】
ルルーノは気さくな婦人で、「泊まるところがないなら、私の家に泊まるといいわ。空いてる部屋もあるから」と、笑顔で二人に言った。
時雨と火ノ丸は顔を見合わせ、行く宛もなく、お言葉に甘えることにした。
真っ白な世界を真っ赤な車が走っていく。ショートケーキの上に乗った苺のように、一際目立ちながら。
空から溢(こぼ)れ落ちてくる雪に止む気配はない。あの不気味な太陽も月も出ていたらいたで「何だかなぁ……」と感じるが、こうも見えないと少し物足りなさを感じる。そう思いながら、過ぎていく車窓の景色を時雨は見つめていた。
「今日、隣街でセールやっててね」
ルルーノは両手で握っていたハンドルから左手を離し、助手席の荷物に軽く触れた。シャン、シャンと彼女が生み出したリズムに合わせ、ビニール袋が歌う。
「あなた達は何処から来たの? 随分、薄着だけど……。まさか……無理心中じゃないだろうね!?」
「ち、違いますッ!! ちょっとした用事で……」
死神様から行先を知らされていたが、真冬の雪国とは聞いておらず、薄着のまま、極寒の地を二人は訪れてしまったのだ。