第5章 課外授業【ブラック☆スター・椿編】
その直後。一変した表情にブラック☆スターは驚きを隠せなかった。現れたのは、鬼の形相。
「だから、大嫌いなんだよ! 貴様がッ!! いつだって、どんな状況だって、強いままでいる!! 貴様にも教えてやろう。……恐怖が どんなモノなのか!!」
── ザクッ!!!!
「うわぁあぁあ!!!!」
静寂を切り裂いたのは、ブラック☆スターの断末魔。彼の腹部を激痛が襲う。ブラックアウトする視界。けれども、血が滲むほど唇を噛み締め、ブラック☆スターは意識を繋ぎ止める。
息苦しい声だけが闇夜に轟(とどろ)く。傷口に刺さった刃を若竹は味わうように、円を描きながら、ゆっくり引き抜いていく。
「さぁ、恐れろ。死を。……これはまだ、入口に過ぎない。……ブラック☆スター、貴様がこちら側に来ることを願っている。……死武専の奴らは恐怖し、あの女を追い出すだろう。なぜなら、アイツは……」
意識が途切れかけているブラック☆スターの耳元に響く若竹の声。若竹は笑い声を残し、姿を消した。
風が鳴る。【恐怖を抱け】と煽るように。
── ズシャッ……
ブラック☆スターは地に伏せた。グルグル回る若竹の言葉と共に。
「時雨、……アイツは、"鬼神"だ」