第1章 一人ぼっちの職人と新たな武器
森の中は薄暗く、赤と青の2色の羽を持つ変な鳥の「ジッポ、ジッポ〜」という不気味な鳴き声が響いていた。
時雨は足を止め、自分を尾行している何者かに話し掛けた。
「居るのはわかってる……。さっさと、出てきたら?」
─ ガサガサガサッ……
木の影から、時雨の方へ何かが向かってくる。得体の知れないモノとの遭遇により、緊張の糸がピンと場に張り詰める。
「………え?」
目の前に現れたものに身構えていた彼女は呆気に取られ、立ち尽くした。
「人形?」
人に操られ動く操り人形(マリオネット)。だが、目の前にいる人形に動かすための糸はない。それでも、人形はカタカタと手を挙げたり、首をかしげたり、奇妙な動きを繰り返している。
「(……魂も……ない)」
考えに集中しようと、人形から目を離した時。
『"よそ見は、いけません"』
─ ドガッ!!
「くっ……見かけによらず、力強いんだね」
人形の右ストレートが時雨の左頬にヒットした。