第5章 課外授業【ブラック☆スター・椿編】
あれは、初めて椿の家にブラック☆スターがやって来た日。
日中は一緒に稽古に励み、共に汗を流した。夕食後、ブラック☆スターの姿が見当たらず、日中に訪れた裏山へ行ってみると、月光を浴びながら、一人黙々と修行をしている彼が居た。
「……お疲れ様」
区切りのいい所で、椿は彼に声を掛けた。家に引き返し、持ってきたタオルを手渡して。
「オゥ!! サンキュー! ……ここ、スッゲーよく星が見えるな!」
「うん。周りに光が無いからね」
「よいしょ」と近くにあった岩に腰を下ろし、仰け反って彼は星を見上げた。その近くにある出っ張った岩に椿は腰掛け、彼女もまた星空を見つめた。
「"漆黒の星"」
「え?」
「俺の名前。ったく、親父もヒデー名前付けるよな! 漆黒の星なんて、全然目立たねぇじゃねぇかッ!!」
「ふふ。……そうかな? 私は素敵な名前だと思うけど」