第5章 課外授業【ブラック☆スター・椿編】
「山も川もあって、いい所だけど……人が見当たらないね……」
民家がある場所までも、これまた遠い。辺りに人影は無く、夕闇に染まる景色に不気味さが漂う。
── ガサッ……
ブラック☆スターの耳が微かな物音を捕らえた。声に出さず、彼は直ぐ様、椿に目を向け、「しッ!」と口元に人差し指をあて、ジェスチャーを送った。
物音がしたのは、左側にある木々が生い茂っている森から。野生の動物という可能性もあるが、彼は人が放つ《気》を感知していた。
……そこにヘラヘラした顔はない。"暗殺者"の顔つきとなり、相手と同調し、息を整えていく。
「(……四人、いや五人……これは!?)」
たくさんの気配が自分たちを四方八方から取り囲んでいる。その数、十・二十なんてものじゃない。その中には、子供もいる。だが、皆から発せられているのは強く禍々しい【殺気】。
「椿、悪い」
「……ブラック☆スター?」
「どうやら、"村全体"に囲まれちまったらしい」