第5章 課外授業【ブラック☆スター・椿編】
課外授業先である【 マドウト村】に二人が到着したのは、翌日の夕暮れ時だった。
辺りには美味しそうな香りが漂っている。村人たちが夕飯の支度をしているのだろう。その香りに鼻を鳴らしながら、ブラック☆スターは歩いていた。
「腹減った〜……」
「鼻を鳴らしながら歩かないの!」
隣を歩く椿に注意されるも、全く彼は聞いていない。どこまでもゴーイング・マイウェイな男だ。
このマドウト村は小さな集落ではあるが、土地は広大で、村人たちは農業・畜産を主な生業(なりわい)とし、藁葺き屋根の平屋で質素に暮らしている。
「にしても……俺様、目立ってる!! ヒャッハー☆」
「……確かに、周りにあるモノが遠いからポツリとはしてるけど……」
土地が広く、彼らが歩いている一帯は野原のみ。近くに森や小川はあるが、何しろ目測。実際の距離より近く見えているだけで、距離はかなりありそうだ。
確かに目立っている事は目立っているが……彼が言っている意味合いと少し違う気がする椿だった。