第5章 課外授業【ブラック☆スター・椿編】
「……二人とも、本当にありがとう。今日が、とても素敵な日になった! ずっと二人の事は忘れないからね!」
薄れゆく少女の姿。現れた時と同じように、小さな眩いエメラルドグリーンに輝く球体へと変わってしまった。
ユラユラと風に乗り、椿の元へ行くと、消えかかる声で彼女は告げた。
「……お節介かもしれないけど、この先 ブラック☆スターを一人にしちゃダメだからね」
「うん。……また、会いに来るね」
「達者でな、ガキンチョ!!」
手裏剣が頭に刺さったまま、ブラック☆スターは彼女に手を振った。何処までも タフな男である。
神木へと光は帰っていく。二人はそれを見届けた後、村を目指し、再び森の中をビュンビュン抜けて行った。
静けさを取り戻した森に温かな光が差し込む。
照らされたお手製の立て札。確かに彼らが出会い、思いを通わせた証がそこにはある。
これからも消える事は無いだろう。それぞれの心に残る思い出と共に……。