第5章 課外授業【ブラック☆スター・椿編】
エメラルの心は、嫌なことを聞く日々に悲鳴を上げていた。けれど、これも神木の役目。その狭間で更に もがき苦しみ、耐え抜いてきた。
その全ての思いを目の前にいる一人の少年が、今し方会ったばかりのこの少年が、受け入れ、理解し、解き放ってくれた。
宝石の様に澄んだ瞳から、キラキラと零れゆく滴。
【この木は嬉しかった事や、楽しかった事を聞きたがってる。どんな小さな事でもいい。コイツに幸せを教えてやってくれ】
そう木の板に書かれたメッセージ。彼女は、忘れていた幸せな気持ちを取り戻せるだろうか。また前の様に、訪れた者たちの笑顔を見る事が出来るだろうか……。
椿は、そっと彼女を抱き締めた。
「大丈夫。……みんな、あなたの事が大好きだから。身近な存在だから話しやすいのかもしれない。それに表情が伺えない分、本音が言えるんだと思う。ずっと、一人で聞き続けるのは辛かったね。でも、もう大丈夫。きっと、みんな分かってくれるから」