第3章 砂漠の月151~172【完】
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「織田先輩!」
「はあい?」
ボタンを下さい、ともじもじしながら言う後輩の女子生徒の様子を見てにこりと思わず笑みが漏れてしまう。
可愛いなぁと思いながらブレザーのボタンを丁寧にハサミで切って渡せば
ぱあっと花が咲いた様な笑みに変わる。可愛い可愛い、思わず頭を撫でれば顔を真っ赤にして固まってしまったのを、その子の友人らしき子が回収してった。
「よう、見事に女子にモテてんな」
「元親こそ」
男に囲まれてますよね、野郎共ですか?皆さん見事に男泣き。
「兄貴ィ…」とか言ってるけど、もう全員舎弟ですよねー、元親ってばガラ悪い人達全員更生させるとか教師に向いてるんじゃないでしょうか。
そう言えばきょとんとした顔で見つめられたけど
「俺は教師ってガラじゃねえだろ」
「暴走族の総長が教師になる漫画無かった?」
「G〇Oかよ」
鬼〇先生みたいに良い先生になると思ったんだけどな。あそこまで破天荒にならないと思うけど。
にこにこ笑って話をしてたら、元親が急に視界から消えた。
ああ、元就の蹴りを食らって前の方に吹っ飛ばされてました。何やってるのと窘めると頭から何かをかぶせられて驚く
あ、元就の制服だ。よくよく見ればボタンは1つも取れてなくって、誰にもボタンをあげなかったんだね
「市にやろうと思っていた迄ぞ、其方は全ての釦を後輩にやったか」
「う、ごめん」