第3章 砂漠の月151~172【完】
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バタバタした年越しも終わり、始業式が始まる。1月が過ぎれば卒業に向かって真っすぐなのだけど。
2月です。2月と言えばバレンタインデー。甘党な元就から催促されまくってるのは仕方がない。と言うか普段から甘い物作ってる筈なんだけど
バレンタインデーは別腹ですかそうか。
何作ろうかなと、もはや特集が組まれてるデパートのお菓子作りコーナーで材料を眺めていれば。
周囲の子達が一点を見て色めきだってるのに気付いて顔を上げたら
伊達と毛利の忍の時雨さんと神楽さんが私の顔を見て手を振っていた。
2人とも美形だから視線が痛い痛い。
どうしたのと聞くと、自分も主君にチョコを送ってみたいって?いいけど主君は男ですよね。
「やはり女性が多いですね」
「まあ、そりゃねえ」
3人一緒になってささっと買い物を済ませれば車で送ってくれると言ってくれたのでお言葉に甘えて
元就と住んでるマンションに到着し、部屋に入ればおかえりと返って来る。
元就は市の手荷物を見ながら教科書に目を通してた。そう言えばテストあるもんね
「神楽と居たか」
「神楽さんだってよく分かったねえ、時雨さんも居たよ?」
3人で買い物してきたと言えば、そうかと
何も言わないなら神楽さんの事知っているのかな。そうぽやぽやと思って
バレンタインだからとケーキを作れば元就が1ホール食べてしまった。どんだけですか。
その細い身体に会わないケーキワンホールとか想像を超えた甘党っぷりに思い切り笑わせていただきました。
甘い季節は日にちが過ぎたらイベントも元通り。
学校でも壮絶なチョコ渡しがあったみたいだけど、元就は食べずに私に渡してくれたのが嬉しかったです。
「これ」
「婚姻届けぞ」
卒業前に。渡したい物あると言われたのでリビングで待ってたんだけど
向かいに座った元就に婚姻届けを渡されて。
いつ籍を入れても良いと言われ嬉しくて声が出ませんでした…
うん、籍を入れても大学には入る。
私の願いをどこまでも聞いてくれる元就にただただお礼しか言えなかった。