第3章 砂漠の月151~172【完】
月子が無邪気な笑顔で言う内容に、市も大きく頷きお守りを決めるとひとまず参拝しようと列に並ぶ。
意外にも人混みは少なく、四人というよりは男性陣は聞き役に徹して女性陣が楽しげに話すという状況で賽銭箱の前まで辿り着く。
市と月子を挟んで四人並ぶとそれぞれお賽銭を投げ込んで手を合わせる。神社とはちがう参拝方法に不思議だねと言い合ったのはお参りが終わってからだ。
お守りを買うとそのまま移動して寺の近くにある出店や商店街を冷やかす。
「この草餅美味しい!」
「お正月に出店が出てるの、なんだか不思議です」
「場所によるようよな。市、この草餅をいくつか買って帰るぞ」
「うん!」
「月子はどうする?」
「え? うーん、お父さんやお母さんたちに買って帰ります」
「ん」
財布を出したのは男性陣で、最近では月子も甘えるようになってそれぞれ思い思いに買い物もしつつ初詣デートを楽しんだ。
元就が購入しようとした草餅の数にさすがの市も待ったをかけたのはここだけの話である。