第3章 砂漠の月151~172【完】
二人して美味しいねと笑い合いながら見た物の話をしていれば、食べ終わったデザートは周囲のテーブルとは違う可愛らしい飾り付けの物で月子が首を傾げるとにっこりと微笑んだウェイターがサービスだそうですと告げた。
「えっと……」
「ふふ、シェフがあなた方を気に入ったようで、楽しげに仲睦まじく食べて下さるお礼だそうですよ」
「あ、ああ、ありがとう」
「ありがとうございます……」
「いえいえ。こちらこそありがとうございます、メリークリスマス」
最後までお楽しみください、そう言い置いて去っていくウェイターは年配で会計を済ます時に聞けば店のオーナーだったらしい。
二人は顔を見合わせて驚きながらも、なんとなく照れくさくはにかみ合い店を出る。また違う時に市たちも誘ってくるかと言う晴久に喜んで頷いた月子は、夕飯の材料を買って家に帰ろうと告げる。
ご飯は時間をかけて作ろうかと言った月子に、普通の和食が食べたいとリクエストしたのは晴久よりも父と祖父だが晴久も異論はなく頷いたのでクリスマス色が全くない夕飯の予定である。
本当にいいのかと晴久に聞いた月子にもちろんと頷いた晴久も結局のところは一緒に居られれば良いという考えらしく、買い物中も籠を手に荷物持ちを買って出ていた。
新婚かと聞かれるのもそろそろ慣れてきて肯定も否定もせず、苦笑してお互い顔を見合わせながらさくっと会計を済ませて自宅に戻った。
夕飯を済ませ、晴久の部屋に二人で落ち着くといよいよクリスマスプレゼントを渡す時間になり、月子は買った物を今更に意識して恥ずかしくなりながらも差し出した。
「おう、サンキュー」
「ううん。気に入ってくれると良いんだけど。あの、浅倉さんにどんなのが良いか聞いて市先輩と買いに行ったの」
服でも入っているかと思って開いた晴久が驚きに目を見開いたのを見て、サプライズ成功に喜んだのは一瞬だったがその後晴久からもプレゼントを受け取って二人でのんびりとした時間を楽しんだ。