第3章 砂漠の月151~172【完】
毎回こうなるわけではないと思うが、まだ売り出したばかりなので注目が集まっているだけだろうと思いつつも女性二人は満面の笑みだ。
「お疲れ様でした!」
片付けを終えてフリーマーケット終了前に一足早く抜けてきた市たちは、荷物の関係もあり織田の市の実家へと戻ってきていた。
実家に着く頃には市はもちろん、月子も放心状態からは戻っており二人で食事を作って手伝ってくれた人たちにお礼として振る舞っていた。
やり切った達成感ににこにこと笑顔で月子とあれこれと反省点などを話しているのを、男性陣はにこやかに眺めている。
「売り上げの方も経費等抜いてもそこそこ出たみたいですね」
「うん、でもプロの方も混じってたみたいで、まだ縫製が甘いところがあるとか、ここはプロではやらないとか教えて下さる方も居たの」
「それは良かったな」
「凄く勉強になりました。前回のフリマで購入して下さった方も来ていて、実際に使った感想をくださった方も居て、こういう使い方をしたら一部がほつれてきちゃったって教えてくれました」
黒羽の言葉に市が真面目な顔で答え、月子も頷きながら言う。まだまだ学ぶことが沢山あると言う二人に、ぽんぽんと頭を撫でたのは晴久と元就である。
「私は、またしばらくは勉強の方に戻らないといけないので趣味程度で押さえます」
「そっか。月子ちゃんはまだあと一年、高校生活あるもんね」
「はい。さすがに成績を落としたらお父さんやお母さんにも申し訳ないですし……」
期末考査も近いしと残念そうに頷いた月子だが、数は少なくてもフリーマーケットには参加したいと伝えてしばらくはブログの更新をしながらのんびり作品などを貯めるという話で落ち着くことになった。