第3章 砂漠の月151~172【完】
晴久と月子が帰宅した夜、市が勉強の邪魔じゃないかと元就に聞けば軽く肩を竦めた元就が抱き寄せて囁く。
照れと申し訳なさが混じった市は、茶化すように言う元就の優しさに苦笑しながらも擦り寄ると腕を回してぐっと抱き着き甘えることにした。
帰り道では晴久が月子と手を繋いで歩きながら複雑そうな表情をしており、月子が首を傾げて晴久を見上げる。
「晴久さん?」
「んー? あー、何でもねぇよ」
「でも、なんか」
「強いて言うなら、元就みてぇにはできねぇなって……」
「兄さん?」
「そ。俺もああいうのはあんまり手つけてねぇから、役に立たねぇだろ?」
「そんなことないのに」
月子はどういったらいいのか判らず、それしか言えないままぎゅっと繋いだ手に力を込めるしか出来なかった。
後日、元就が市と月子に見せる前にと創作の続きをしている傍らで晴久に完成デザインを見せて、そのデザインは綺麗だが一緒に書かれている商品紹介やサイト紹介の文章のダメっぷりにツッコミ、文章全般を書き換えているのを目撃することになる。