第3章 砂漠の月151~172【完】
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アレンジした服を持ってって、フリマに持ってった時は楽しかったなぁと。大学ノートにシャープペンでぐりぐりと、自分が着たいと思ったデザインをデッサンしてたら「作るのか?」と声を掛けられ。振り向いたら元親でした。
「この前のフリマどうだったよ?」
「意外に大盛況、売り物無くなっちゃったの」
「おお、良かったじゃねえか」
すごーく楽しかったです。だから今度自分で服作って持って行こうかなと思ってるって伝えたら、いいなそれ、と言いながら笑う兄貴の笑顔が眩しいです。
そうだ、と思いついてさっきから書き殴ってたデザインを書いたノートを元親に見せ、作るならどんなのがいいのかなと相談すると。一瞬キョトンとされたけど。黙ってノートを開いて確認してくれた。
「いいと思うけどよ、市は昔からこういうの得意だよな」
「姫ちゃんの服とかよく作ったよね」
「忘れろ、それはもう思い出さなくていい」
「可愛かったなぁ、市の姫ちゃん」
「聞け」
取り敢えず、自分の好きなデザインで作ってみろとアドバイスを頂いたので。どんな生地買って帰ろうかな。裁縫屋さんに帰りに寄ってみようかな。
まずワンピースと柄ものブラウス、柄は刺繍で入れてみて、だんだんワクワクしてきて夢中で考えてたら下校時刻でした。うわ、私どんだけ授業サボってたんだ。
ノートを見たら一応取ってあって息を吐く。危ない危ない、卒業前の大事な時期に上の空じゃいけない。
せめて推薦取ってからだなぁ、黒羽に相談しに行こうと職員室を訪れる時にノートも持って。
「こういう事したんだけど勉強と両立できなくて困った」
「なら推薦目指します?丁度向こう側から問い合わせが来たんですよね」
「なんて?」
「織田の姫様が来るなら推薦用意しますよって」
「なんか権力動いてない?」
貴女は誰の妹ですか?そう言われれば言葉が出ません。理事長の妹です。
何なら今回やりたがってる服を作ったりフリマに出たり。自作ブランド?みたいなものを作るのならそれを評価したいって。
げ、解せぬ。だけどやりたい事で評価してくれるならそれに越したことはない。
「受けますか?止めますか?」
「ずるい、やるって言うしか選択肢ないよおおおう」
「良かったですね。因みに月子も評価されますよ、一緒にやるんでしょう?」