第3章 砂漠の月151~172【完】
一、二着売れれば嬉しいねって話はどこに行ったと銘々が思っていたのは間違いない。
「月子、大丈夫か?」
「晴久さん……うん、大丈夫」
「市、片付けはどうする」
「あー……やる、やってどっか落ち着けるとこに行きたい」
「なら、暫く座っておれ」
「月子もな」
へたり込んだ市と月子に、元就と晴久が声を掛けるが放心状態なのか動くに動けないのを察した二人が率先して片付けに動く。
もちろん、道具を運んだのは雹牙と黒羽が運転した車だったので、駐車場もないしと終わるまで帰っていてもらっている彼らを呼び戻すのもしっかりとやった。
後片付けは三十分もかからずに終わり、噂を聞いてやってきた客も片付けている風景を見て直ぐに散って行った。
車に乗って一息ついた月子と市は、頬を染めて興奮気味に今日の出来事について話していた。
「楽しかったね、月子ちゃん」
「はい! またやってみたい、ですね?」
「そうね。でも、その時には既製品を元にしたのじゃなくて、何か考えたいわ」
「そうですね、私もお洋服もですけど、小物、こういうのない? って聞かれてなるほどって思ったのもあって」
「あ、それは市も思った。こういう風にしてほしいのって言われてすぐ出来ないってなんか悔しくって」
ね、と笑い合う女子二人に苦笑しながらもまたやるなら手伝うんだろうなと思っている晴久、元就と黒羽、雹牙が居たのは最近では当たり前の様な光景である。