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砂漠の月

第3章 砂漠の月151~172【完】


時間制限はあれど、その分色や中に閉じ込める物は多種多様に用意されていて、二人とも妙に真剣に作り込んでいるのを隣でのんびりと眺めている男性陣が居たりした。
一緒にやらないかと誘った物の、今回は良いと笑って断られて結局一緒に挑戦したのは浅倉と浅倉の指令で強制的に岩崎がやることになった。
渋い顔をした岩崎のその出来上がりは見るも無残で、指導に当たった大学生が苦笑しながら慰めるという一面もあったが月子と市は綺麗に作り上げており意外にも浅倉も器用だったのでかっこいい物が出来上がっていた。

「さて、メイン会場に行こうか!」
「はーい!」
「何かあるんですか?」
「……嫌な予感しかしねえんだけど、俺」
「同感だ。我も嫌な予感がする」

何を企んでいる? と目を細める元就に竦むことなくにっこりとなんだろうね? と返した市は確実に内容を知っていて、若干青い顔をしながらもにこにこと表情を変えない浅倉も、これで居て中々に曲者だと元就の眉間にしわが寄る。
果たして、辿り着いたのは女装コンテスト一般参加の部の控室で、目を見開いて硬直した晴久と元就の横でキラキラと期待の眼差しをしたのは市と月子である。
晴久は参加してくれないの? と上目遣いに見る月子に負け、当然元就も口論の末に市の拗ねた顔に折れ、どちらも後で覚えてろよという言葉を残して控室に入って行く。
笑顔でついて行った浅倉の手には、逃げようとした岩崎の首根っこが抑えられており、ズルズルと引きずってその後を追いかけていった。

「……浅倉さん、力持ちですね」
「そうね。どんな衣装かなぁ……。市も教えて貰ってないんだよね」

巻き込まれた岩崎に合掌した市と月子は、元就たちに説明を終えた浅倉が戻ってくるのを待ってコンテスト会場の観覧席へと移動していった。
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