第4章 初めての感情
「ということは?何ですか?菊丸先輩。」
羅夢音はキョトンとして聞いた。
「俺と不二の試合、羅夢音っちが見てるんだ~!」
菊丸は目を輝かせて言った。
「いつもの部活でも私は見てますけど……」
羅夢音は苦笑いした。
「そうか……羅夢音ちゃんが近くで見てるんだ……」
不二はいつもの笑顔とは違い、目を開いて真剣な表情をしていた。
(……やっぱり不二も本気で来るか……羅夢音っちも見てるし、当然か……俺も本気出すかな……)
菊丸は不二に勝つ気持ちしか無かった。
「よぉーし、負けないぞー!」
無駄に元気よく菊丸が叫んだ。
(不二先輩……目、開けてる……。練習試合でも本気なんだ……。まぁ、不二先輩だったら当然か。今回はどっちが勝つのかな……。目を開けてる不二先輩って……オーラがすごくて圧倒されそう。強そうだな……。)
羅夢音はマネージャーの仕事の手を止めて、二人の試合を見た。