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いちご☆恋模様 色々詰め合わせ

第3章 きみに会えてよかった


「お、お腹すいたよぉ・・・」

『ぐぅ~』と大きな音をたてて、お腹が鳴る。他の人に聞こえるわけなんてないけど、あまりに大きな音が恥ずかしくて、放課後、私は廊下の隅っこを歩いていた。

(お弁当忘れるなんて、本当最悪だ・・・)

・・・正確には違う。お昼休み、クラスの友達と食べる用の小さなお弁当箱は持ってきたけど、こっそり隠れて食べる用の大きなお弁当箱を忘れてしまったのだ。
学年で一番身長が低くて、いまだに小学生に間違われるような私が、そこらへんの男子よりよく食べるなんて知れたら、きっとみんなひくに決まってる。だから、クラスの友達とは、まさに女の子って感じの小さなお弁当を食べて、その後空き教室で隠れておっきいお弁当をむしゃむしゃと食べて空腹を満たして・・・そんな面倒な生活を私は、ここ岩鳶高校に入学して一ヶ月あまり続けていた。

でも今日は朝バタバタしていて、私の命綱でもあるおっきい方のお弁当を家に忘れてきてしまった。さらに最悪なことにはお財布も忘れてしまって、購買で何か買うこともできなかった。お金がないからコンビニとかも寄れないし、本当に家まで我慢しないといけない。

普通の女の子は、あの量で十分だなんて本当に信じられない。午後の授業も全然集中できなかったし、もうお腹が空きすぎて倒れてしまいそうだ。


「っ・・・!!」


なんて思っていたら本当に身体がふらふらっとして、校舎を出たところで私はうずくまってしまった。

・・・どうしよう、どうしよう。先生に事情を話してお金を貸してもらう?それとも仕事中だけど、お母さんに電話して何か持ってきてもらう?でも、どっちにしろ、もう立ち上がる元気も鞄の中から携帯を取り出す気力もない。

幸い隅っこの方にいたため、周りの迷惑にはなってないけど、その代わり誰も私に気付いてはくれない。

・・・どうしたらいいんだろう。

というか、なんで私こんなに大食いなんだろう。中学の時みたいなこと、もう言われたくないのに。でもお腹が空くのはどうしようもなくて。だけど、こんなこそこそした生活をずっと続けていくのも嫌だって思ってて。

せっかくお弁当を食べるんだから、遠慮しないで思いっきり、楽しく食べたいのに。だけど、こんな私を受け入れてくれる人なんているんだろうか。
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