第90章 未来への展望
挽歌祭(エレジア)とは古代の英雄や迷宮で亡くなった冒険者達を哀悼する催し
それにより都市の空気はしんみりしたものとなる
しかし――
それは―――ケイト(神王)の手によって、明るいものへと転じることとなった
この時代、この時を持って、意味合いは大きく変わった
古代の英雄や迷宮で亡くなった冒険者達
ではなく
「癌」と「隠れ癌」によって犠牲にされた『全ての存在、人々』と――
哀悼する催し
ではなく
『共に英雄と成れたことを祝い、感謝を伝え、共に喜び、貴ぶ、『光』を与え合う日』へと――
「癌」と「隠れ癌」を除いた『亡くなった者達』もまた――『光を齎してくれた同士』だから――
『今』へと繋げ、「癌」と「隠れ癌」から守って生かしてくれた
『大恩ある人』なのだから―――
少しでも誇れるように
少しでも…守れてよかったと思えてもらえるように…
少しでも……生まれてきたいと想えるように……
少しでも…‥…幸せで在れるように…‥…
その為の『誓いの儀式』ともされている
『堆魂の儀』は―――
少しでも…報いる――その為の、誓いの儀と―――
数多の死と向き合い、向かい合い、無駄にさせまいとする
その死を、命を、犠牲を、想いを、汲み、寄り添い、共に歩み、受け入れ、前に進む
誓いの儀式だと――――
『恩返し』――その為の、せめてもの手向けなのだと…自分達の生き方で返すのだと
守ってよかった、そう想える、想い合える世の中に…『今』を生きている人達は一人残らず、それが出来る人達だけで構成されているのだから―――
『今』という時に至るまで
闇に染まらず、闇に打ち勝ち、英雄となった
『全て』が英雄となった記念すべき日として―――
それが―――遠い日、神国神話における行事として、深々と刻まれている
忌み嫌われる存在として、「癌」と「隠れ癌」と「主犯格の癌」を
それに対してまで救済を与える存在として、『原初の神々』と『次期原初の神々』と『原初の魂』を
そして――〖原初の神々を支えた存在〗―――「癌一同」と『原初の神々一同』を除いた〖存在する数多の全て〗を―――
「癌一同」が施す「癌化という呪い」を退けた『原初の神々一同』を称え、それを支えた〖英霊達と全て〗に感謝し、それに倣って『道を踏み外さない誓い』へと―――