第88章 神聖たる導き
皆尊い
皆大事
癌と隠れ癌だけは別
これは区別!
そうしないと…←目を伏せる
守れないから←黒く荒んだ目で、睨み据えるように言う
消滅から――
そう…
最後に伝えてくれた
真っ直ぐに…前を見据えて……
やっと――
やっと――
最後の癌が消えた
そう、声が聞こえた
気がした
創世神の親の心からだろうか……
原初の神々の皆も聞こえたようで、辺りを見回していた
その中でケイトは動じず…きちんと受け止めていた
隠れ癌とは、癌に誘発されて後天的に癌となる存在、癌に加担したものを意味する
癌とは、創世神を除いた全てをその手に掛けて殺し、消し去ったものを意味する
先天的な癌も、後天的な隠れ癌も、どちらも人を重んじない本質は、人を見ない心は、皆同じ
だから…どちらも癌と云(ゆ)える
その癌が…やっと終(つい)えた―――
終わりの日を待たずして…癌の終わりを遂げた……
これから始まるのは…救済……
真面目に日々を生き、大事にし合える協力者のみ
対等に扱い、互いに歩み寄り、尊重し合える…温かな社会
そうする為の……
皆が皆、生きれる社会にする為に…必要な救済(断罪)
それは…もう間近にまで迫っている……
すぐそこまで―――
ケイト「どうか……どうか…
少しでも…この傷が、癒えますように」
天を見上げて、目を細め、遠くを見据えて、呟いた…
世界中に蔓延る、癌が残したヒビ
世界がいつ壊れてもおかしくない粉々な空間
それらを癒やすには…地獄落ちの人々を一掃しなければならない
根底から覆さない限り…その傷に終わりは来ないから
その傷は…地獄落ちの人々と、癌一派(隠れ癌含む)が、刻み続けているものだから……
それが全部消えない限り…終わりは無い
その傷に、破壊に、消滅に…
自らがした過ちに、人を巻き込む在り方に、中身に、変わりが無い限り……
その人の中身が成長しない限り……全てに終わりを齎す本質は、変わることは無い
必ず癌として完成する
それを避ける手立ても無いし、救う方法も無い
間違いを間違いとも、非を非とも認められないものに…
成長する余地等、繰り返さないように出来る道に等、在りはしないのだから――
永遠に―――
神に至る時等、完成する時等、訪れはしないのだから