第5章 遭遇と探索
その光景が目の前で広がった瞬間、アイズは動揺しているようで冷や汗が滲んでいた。
リヴェリア「!馬鹿な真似はよせ!!見せろ!」ぐいっ
じゅううう
剣を離させられる中、自然と傷が蒸気と共に治っていった。
アイズは唖然としているままで、再び剣を向けようとはしていなかった。
ケイト「私は…化け物だ。
こんな傷は、すぐ治る」
自嘲気味に語りながら、再びその子を懐に入れて抱き締めた。
ケイト「それと…何が違うんだよ。
モンスターはモンスターでも、この子は対話しようとしている。
相手の話を聞いて、理解しようとする『心』を持っている。
それなのに…そんな風に決めつけられそうになってて、私がそれを見殺しにできると思ってるのかよ。
特殊個体だか何だか、私は知らない。
でも…こいつを見ろよ。確かにモンスターは凶悪かもしれない。
人を見ればすぐ襲ってくる!!ちゃんと知ってる!
でも、自分の意思を持って人を襲わないものだっている。こいつが代表例だ。
こいつはなあ…「人間って何?」って聞いてきたんだ。
「私達」だって送ったら、返ってきた言葉は何だったと思う?
「へえ。そうなんだ」だってさ。襲う気なんて欠片もない。
「襲わないの?」って聞いたら「何で?」って逆に聞いてきた。
その上、「まずそう」だなんて言ってきやがったんだ。
無邪気で無垢で…生まれたばかりの何も知らない存在だ。
そりゃ確かにずっとそうかなんてわからないよ。
でも…それでも…私は……こいつを見捨ててなんておけないんだよっ!;(涙)
心を持ってて襲いたくない人達に襲われて…そんなの…哀し過ぎるだろっ;;
私は……辛かった。それでも護りたかった。こんな力を持ってるから、勝手に治るから生き残れただけだっ。
そうでなきゃ…私はとっくの昔に死んでたっ;
ごめん…モンスターに殺されたことがないから言えるのかもしれない。
それでも…どうしても自分に重なっちゃうんだよっ;
一匹だけを特別視するのはいけないことかもしれない。
でもこいつは…心を持ってて、まだ…違った未来だってあるかもしれないのに…変われるかもしれないのに……
それを、潰したくなんかないんだよ;;」ぎゅううっ
口から出た言葉は全て、本心だった。
気付けば涙がぼろぼろと止まらなくなっていた。