第1章 本丸へ
鍛刀部屋へ着くと、既に時間が0となっていた。
釜に入っていたはずの刀は、いつ誰が用意したのか分からない台座にそれぞれ掛けられていた。
『この後はどうするの?』
「陸奥守さまを顕現させた時と同じで御座います」
陸奥のときは鞘に入っていたが、このこの刀達は刃の部分しかなく、握ることは不可能だ。
ならば、手をそっと側面に添えてみることにした。
しばらくすると、刀が暖かくなり始め、眩い光の中から桜を舞わせて小さな男の子が現れた。
「僕は、五虎退です。あの……しりぞけてないです。すみません。だって、虎がかわいそうなんで」
『え、あ、うん分かった』
可愛いいぃいぃ!!!
退けるや、可愛そうみたいなことを言っていたが私にはなんのことだか分からず間抜けな返答をしてしまった。
「あ、あの、あなたが新しい僕のあるじさまですか?」
『えーっと…そうだよ!よろしくね』
自分で「私が主だ!」っていうのは現世だったら100%痛い奴認定されるだろうな…。
でもここはこんな可愛い子も自分に仕えるのか…どうしよう顔のニヤケが止まらない。
「あるじさま?どうかされましたか?」
『え!?いやなんでもないよ』
変な人だと思われる前に顔を戻さねば。
「審神者様、力の使い方がヘタクソですね。顕現に時間が掛かりすぎです」
『…いや、力の使い方とか知らんがな』
「刀に審神者様の力を注ぎ込むイメージです。さあもう一度!」
『分かった、やってみる』
「主さま、がんばってください!」
五虎退に応援されて破顔しそうになるのを堪えてもう一方の刀に手を添えた。
力を流し込むイメージ…
すると、五虎退と時よりもはやく刀が暖かくなり始めた。
そこからはあっという間で、新たな刀剣男士が顕現された。
「ぼくは、今剣!よしつねこうのまもりがたななんですよ!どうだ、すごいでしょう!」
OH MY GOSH!
また可愛い子が来ちゃったよ!
『初めまして今剣、私がこの本丸の主…』
そこでふとある重要なことに気づいた。
私、名乗ってないじゃん!
相手に名乗らせておきながら自分は「主です!テヘッ」で良いわけがない
『主のんごふっ!?』
名乗ろうとした瞬間、こんのすけが私の頭のてっぺんに飛び乗った。
お陰で舌を噛んだ上に無様な姿を可愛い子の前で晒してしまったではないか!こんのすけめ!
