第1章 本丸へ
『陸奥!』
慌てて陸奥の傍に寄り安否を確かめようとしたが、しゃがんだ途端に喉の奥から何かが込み上げてきた。
『!?』
現世では安全を守る為の防御システムによって怪我をする人は皆無、血や怪我をみる機会が無い私にとっては衝撃的すぎる光景だった。
陸奥をはやく助けたいが、今口から手を離したら悲惨なことになってします。
あたふたしていると、
「審神者様!陸奥守様はわたくしめが手入れ部屋までお運び致します。着いて着て下さいませ」
口が利けないのでぶんぶんと頭を振って頷く。
陸奥の身体が光に包まれ、こんのすけが走り出したのと同時に動いた。
その後を急いで付いていき、やっとの思い出手入れ部屋に着いた。
そこには寝台が2台あり、手入れ用の道具らしきものも置いてあった。
陸奥を寝台に寝かせ、こんのすけがこちらに向き直った。
「審神者様、陸奥守さまの刀を手入れする必要が御座います」
吐き気が治まり、情けないがようやく口が利けるようになった私は疑問に思った。
『え、刀を?』
「はい。そちらが本体ですので」
こんのすけに道具の使い方を教えてもらい、手入れを施していく。
『………これで、大丈夫かな』
恐る恐る陸奥の方を振り向くと、
『!?』
傷は綺麗に消えて、陸奥は穏やかな顔をして眠っていた。
一人で戦場へ送り出してしまったことに対して申し訳ない気持ちに苛まれ、目頭が熱くなっていく。
『うぅっ…ごめんなさい、陸奥』
「審神者様の落ち度ではございません…」
『うん。私のせいじゃない。私”達”のせいだよね』
「え?…うぬ!?」
こんのすけが私の顔を見上げるや否や、その景色が反転した。
「な、何をなさるのですか!?」
『この可愛いふわっふわな尻尾の毛を一本残らず毟ってやる。覚悟なさい!』
私に尻尾を鷲掴みにされているこんのすけは、毛を毟られまいとジタバタと暴れる。
「も、申し訳御座いません!緊急事態だった故!かならず埋め合わせを致します!どうか!どうかお許しを!!」
『…まあ、こんのすけも仕方なかったんだよね、きっと。ごめん』
「い、いえ!……あ、そろそろ鍛刀時間が終了している頃でしょう。刀剣男子が増えれば陸奥守さまの負担も減ります。さっそく顕現をしに参りましょう」